積乱雲
家から西の空を見上げると高圧電線の鉄塔の向こう側に大きな積乱雲が広がっていた。
その雲は日中に狂ったような日差しを僕らに降り注いでいた沈みかけの太陽に照らされ、透き通るような朱にに染められている。
その雲の暗い部分に時おり葉脈のような閃光がが走る。
そう言えば先ほど何気なしに眺めていたテレビの天気予報が、僕の住む街から直線距離で30km離れた街に大雨を降らしていると告げていた。
ーーあの雲はここから30km離れた街の上空に広がっていて、その下ではたくさんの建物や多くの人が雨に打たれている。
眩しい夕陽に目を細め漠然と見ていた積乱雲が何故か身近に感じた夏の黄昏れ時。
0コメント